ひとみ健康辞典
眼精疲労
目を酷使してしまう現代人の生活習慣病 眼精疲労
眼精疲労とは、目が疲れるという症状のことをいいます
食事や運動など日ごろから健康管理に充分気をつけている人でも、目の健康については意外に無頓着な人も少なくありません。目が疲れる、しょぼしょぼする、目の表面がゴロゴロするなど、目の異常や不快感を訴える人は近年増えており、目に違和感を覚えて病院を訪れる人も多くなっています。
眼精疲労は目だけの病気ではなく、目が疲れることから起こるあらゆる症状のことをいいます。最近の情報化社会では、PCやスマートフォンなどの多用で目を酷使せざるを得ない環境にあり、眼精疲労を起こしやすい状況になっているといえます。
運動をすれば筋肉痛が起きるように、目も限度以上に使えば疲労感を伴います。目の疲れはふだん誰にでも起きる生理現象ですが、疲れ方がひどかったり、疲れがなかなか回復しない状態をそのまま放置すると、頭痛、首・肩こり、微熱、不眠、倦怠感などさまざまな全身症状を伴うようになります。
近視も眼精疲労の原因に。慢性的な疲れは生活習慣病の危険サイン
目の疲れといっても、自覚症状としては個人差もあり一様ではありません。目を使う仕事を長時間すると目が痛い、疲れる、目がかすむ、まぶしい、充血する、涙が出るなど実に多彩です。
眼精疲労を起こす原因には、目そのものに原因がある場合、身体の状態が悪い場合、その他環境や心理的な要因などがあげられます。眼精疲労は、こうした原因が重なりあって起きます。
目に原因がある眼精疲労では、目のピントを合わす調節機能が低下したり、目をとりまく筋肉の異常、例えば斜視などが原因となります。近視、遠視や乱視といった屈折異常によっても眼精疲労は引き起こされますし、また、ドライアイ、結膜炎などのほかの目の表面の病気が原因となったり、視神経などの目の奥の病気が原因となって起こる場合もあります。
精神的なストレスも眼精疲労の原因になります。身体では副交感神経と交感神経という2つの自律神経がバランスよく働くことで、各器官の働きを的確にコントロールしています。しかし、精神的なストレスがたまることの2つの神経のバランスが乱れ、筋肉や血液循環、内臓の働きにも悪い影響を与え、それが目に及ぶと、目に慢性的な疲れを感じたり、見えづらくかすむといった不快症状があらわれます。
また、高血圧、動脈硬化症、糖尿病といった生活習慣病も眼精疲労を伴いやすいとされています。生活習慣病があらわれはじめる中高年者の場合、目の疲れが慢性的になったり、急激な視力の低下があるときには、生活習慣病のサインとして受け止め、放置せず専門医の診断を受けることが重要です。
作業環境を改善し、目の疲れをこまめに解消することが予防策
眼精疲労を防ぐためには、目の疲れをこまめに解消していくことが大切です。目に疲れがたまるとものが見えづらくなり、それがストレスとなってさらに疲れを助長させることにもなってしまいます。
仕事などで、長時間動くものを見続けたり、細かいものを見続ける作業をしたときは、目を閉じたり開いたり、また目を動かしたりして目の筋肉をほぐす。さらに、遠方の景色を見て目をリラックスさせましょう。また、冷やした濡れタオルや少し熱めのタオルを目に当ててみましょう。眼球は適度な刺激を与えられ、血液の循環を促し疲れが解消し、気分もリフレッシュされて集中力も高まります。
照明は明るすぎても、暗すぎても目に負荷をかけることになります。パソコンでの作業が多い人は、画面の位置や画面の明るさ、椅子の位置といった作業環境を改善し、1時間作業を行ったら少し休むこと。
眼鏡やコンタクトレンズを使用している人は、度数の合ったものを使っているのか定期的にチェック。徹夜も目を疲れさせる原因なので、夜型の生活を改めましょう。
眼精疲労のおもな原因って何?
n 目の調節機能の低下
眼鏡、コンタクトの不適切な矯正。目の老化により、ものに焦点を合わせる目の調節作用が低下すると、通常よりも強い調節力が必要となり目に疲労が起きる。
n 心身の疲労
眼球の異常だけでなく、心身のバランスが悪くなって起こる疲労。パソコンやスマートフォンなど、ディスプレイ上から光と色の刺激を受け続けるために起こる。
n 筋肉の働きの低下
眼球を動かす筋肉に過緊張が起こる疲労。眼球を正しい位置に動かすことがしづらくなり、近くのものが見づらくなったり、ものがだぶって見える。
n 他の病気の影響
ドライアイ、結膜炎、斜視など目の病気のため、目にかかる負担が増えた結果起こる疲労。これは原因を治療しないと眼精疲労も解消されない。
眼精疲労の症状
1. 目を使う仕事をするとすぐに目が疲れる
2. 目の疲れがなかなか回復しない
3. 頭痛や肩こりなど全身症状がともなう